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【植物】神々の花:モモ

「三歳(みとせ)のち 弥生の三日(みか)に
花も実も 百(もも)なるゆえに モモの花
二神(ふたかみ)の名も モモヒナギ・モモヒナミなり」

(大田田根子『ホツマツタヱ』天七代、床御酒の綾)

今年の桜は開花が早く、桜前線も早や東北まで到達しているようです。週末が雨だったり、忙しくしているうちに見逃してしまった!という方もいらっしゃるでしょう。でも、桜に似た同じバラ科の桃の花なら、最盛期は4月という地域も多いのです。

過去の号で、万葉集では梅や桜の花に関する和歌は多いが、桃の花については極端に少ない、とお伝えしたことがあります。その理由は定かではありませんが、モモが古来日本人にとって神聖な植物であったから、という推測もできます。

前回取り上げた、『古事記』『日本書紀』のもとになったとも考えられている『ホツマツタヱ(秀真伝)』には、雛祭りの由来について興味深いくだりがあります。

昔、コシの国(越前)のヒナルノ丘の神宮(越前市の日野神社)に、木の実を持った御子たちがお生まれになった。その実を庭に植えておくと、3年後の3月3日に花も実も百もついたので、モモ(百)の花と呼ぶようになった。それで、男神をモモヒナギ(百雛木)、女神をモモヒナミ(百雛実)と名付けたのである。

『ヒナ(一七)』というのは、大人になる前の呼び方である。若者のことを『キミ(君)』と呼ぶのは、モモの木(キ)と実(ミ)にちなむものであり、これより男神の名には「キ」(例:イザナギ)、女神の名には「ミ」(例:イザナミ)を付ける習わしになった。

両神が『ヒト(一十)』として成人されたある年の3月3日、スクナミ神がお酒を醸して献上した。モモの木の元で酌んだお酒に月が映り、両神は代わる代わる勧めた。まず、女神が飲み、それから男神が飲んで契りを結んだ。これが『床神酒』である。

(中略)

『トコ(床)』とは、『ト(占い)』と『矛(ホコ)』を以て世を治める世継ぎを生むことなのである。

いかがでしょうか?「雛」の語源は、「ヒト(人、一十)」になる前の「ヒナ(一七)」であること、「君」の語源は「木」と「実」であること。今でも、男の子の名前には「ヨシキ」「カズキ」など「キ」が付き、女の子の名前には「ヨシミ」「カズミ」など、「ミ」の付くのは、太古にその起源があること。また、「ミ(女神)」が先に飲み、「キ(男神)」が後から飲んだことから「お神酒」ということばが生まれたこと。雛祭りの甘酒(もしくは白酒)だけでなく、結婚式の三々九度も、ここから来ていること。短いくだりですが、現代に続く日本語の成り立ちや、しきたりの起源が記されています。『ホツマツタヱ』には、このような話がたくさん詰まっていて非常に興味深いので、ぜひ読んでみてください。

今年は旧暦の桃の節句は新暦の4月14日にあたり、だいぶ遅めです。ひな人形を出しそびれてしまったと言う方も、本来の桃の季節に合わせて、神々がお神酒を酌み交わした太古の桃の季節に思いを馳せながら、あなただけのひな祭りを楽しむのも良いのではないでしょうか。

▼参考サイト(2021年3月29日参照)
ホツマツタエ
朝倉未魁の超訳ホツマツタヱ

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