精巧なタイの工芸技術
皆さんは、東南アジアの伝統的工芸品といえばどんなものを思い描きますか。日本では、インドネシアのバティックやラタンの家具などが良く知られており、タイはどちらかと言えば工芸品よりもトムヤムクンなどの料理のほうが人気ですが、タイ王国には豊穣な文化の中で育まれた、美しい工芸品が現代にも数多く伝えられています。
7月20日、タイ各地の工芸家とデザイナーとの協業により、現代の市場ニーズに合致した工芸品制作のサポートを行うタイ芸術工芸振興協会(SACIT)さまが、東京ビックサイトへのイベント参加に合わせ、JTCOを訪問されました。
▲黒銀象嵌細工のバニティバッグ
ウタイ ・ジアンシリ師
(黒銀象嵌細工・黒金象嵌細工 SACITより2019年国家認定芸術家 ※人間国宝と同格)
▲螺鈿細工
チャクリット・スックサワット師
(螺鈿細工専門家 2015年芸術工芸師認定)
▲木工細工
スパチャイ・グレーオタノン氏
(“TIMA”ブランド木細工デザイナー)
工芸品の現代のライフスタイルへの適応
当日は、タイの工芸家の方々、タイの美術工芸振興を担う担当官の皆さまと、日本のマーケット状況、工芸品の消費行動、トレンドや異国間コラボレーションについて意見交換を行いました。
タイと日本に共通する問題意識として、伝統的工芸品も現代のライフスタイルや人々の嗜好の変化にいち早く対応していくべき、ということが挙げられました。
今回来日された方々は、日本人の好みやライフスタイルも良く観察されていて、例えばタイの女性は小さめのハンドバッグを持ち歩くことが多いが(それで象嵌細工のバニティバッグが開発されているようです)、日本の女性は荷物が多いのか大きなバッグを持ち歩く人が多いようだ、という気づきを共有してくださいました。確かにそうだなと思いつつ、以前日本人の年配の女性が、昔は小さなハンドバッグに口紅とハンカチ、お財布くらいで出かけていたのよ、と言っていたのを思い出し、伝統工芸品業界も、こういった小さなライフスタイルの変化を見逃さないことが時代に合った商品を生み出していくことにつながるのだと感じました。
(お土産にいただいた、ゾウを象った金彩の写真立て ►)
国のイメージを活かすマーケティング
また、過去に行ったマーケティング調査の経験から、ある国のイメージが、販売先の国での商品の受容に大きく影響するということ、また日本人の持つタイに対する好意的なイメージを、ぜひ商品のストーリーにつなげて欲しいとお伝えしました。
現在、タイの伝統的工芸品は日本よりもよりエキゾチシズムを感じさせるのか欧米で人気があるとのことでしたが、精巧で美しいタイの工芸品が、日本でも目に触れる機会が増えていくことを願っています。
写真左から:
チャクリット・スックサワット師(螺鈿細工専門家 2015年芸術工芸師認定)
Sacit公式ページ (PDF形式)
チャクリット氏Facebook
スパチャイ・グレーオタノン氏(“TIMA”ブランド木細工デザイナー)
TIMA公式ページ
ウタイ ・ジアンシリ師(黒銀象嵌細工・黒金象嵌細工 SACITより2019年国家認定芸術家 ※人間国宝と同格)
Sacit公式ページ
チャンタパット・パンジャマーノン氏(タイ国大使館商務参事官事務所 商務公使)
パーウィー・ポーイ氏(タイ美術工芸振興研究所所長代理)
小坂典子(JTCO理事長)
及川秀悟(JTCO副理事長)
パンティトラー・セーングンシリサック氏(製品イメージ・文化醸成担当シニアオフィサー)